ぼっちカメラ手記

カメラや写真に関する色々を綴ります

page. 3 焦点距離と画角の話

K, Takuです。

 

レンズの焦点距離の捉えられ方は色々ありますね。
望遠では遠くのものを大きく映せる、広角では広い場所をパースを利かせて映せる、50mmは人の見た感じによく似ている、などなど、様々な語られ方をします。

f:id:K_Taku:20170320201946j:plainf:id:K_Taku:20170320202044j:plain            焦点距離 600mm            焦点距離 50mm

f:id:K_Taku:20170320202016j:plain
             焦点距離 10mm


その中の一つに、画角を焦点距離の関数として捉える見方があります。実際、焦点距離が短いほど画角は広く、長いほど画角は狭くなる、というのは周知の事実ですが、実際に定量的にどういった関係なのかはあまり気にされていない様に思います。

忘備録として、簡単に思考を整理してみます。


ある被写体が撮像素子上でピントが合っている状態はよく下図のように模式されます。

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焦点距離と画角との関係性を出したいので、次のように整理。
・センサーの大きさをx
焦点距離をf
・画角をθf:id:K_Taku:20170320203224p:plain

f:id:K_Taku:20170320203321p:plain
上図より下記のような式に落とし込めるので、

f:id:K_Taku:20170320203425p:plain

整理して次式。

f:id:K_Taku:20170320203459p:plain


というわけで初めの図に立ち返ると、画角と焦点距離は次のような関係であることが分かります。

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一般式だけ眺めていてもよく分からないので、試しにフルサイズのセンサーを仮定して実際に焦点距離が変化すると画角がどういう挙動を示すのか見てみます。

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フルサイズセンサーのスケールは上図の通りなので、最も大きい対角長さ "43.27mm"を採用してグラフ化します。

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 1mmから1000mmまでの焦点距離と対応する画角です。レンジが広いので片対数グラフにしています。
上グラフから、焦点距離に対する画角がざっくりと読み取れます。
・10mm ⇒ 約130°
・30mm ⇒ 約70°
・50mm ⇒ 約46°
・100mm ⇒ 約25°
・600mm ⇒ 約4°

すぐに分かるように、100mmまでは急峻に画角が狭くなっていきます。言い方を変えると、広角側では1mmの変化がもたらす画角への影響度が大きく、望遠側ではその影響度が小さい、という事が定量的に分かります。ズームレンズを使っていれば直感的に分かる事ですが、数字にしてみると思った以上に強烈な変わりざまで、少々びっくりしました。


さて、大三元とか小三元とか、3本で1セットみたいなズームレンズ群がありますが、それらの画角がどんな分布なのか見てみます。

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・16-35mm ⇒ 107°-63° (Δ44°)
・24-70mm ⇒ 84°-34° (Δ49°)
・70-200mm ⇒ 34°-12° (Δ22°)

16-35mmと24-70mmは画角の幅が近いですが、70-200mmはそれらと比べると約半分ほどになっています。これらの焦点距離でズームレンズを作る文化がいつからなのかにも興味がありますが、少なくとも画角の幅を均一にするように作られているわけではないんですね。

 


さて、先日VoigtländerからSONY Eマウント用の広角レンズが発売されました。
http://www.cosina.co.jp/seihin/voigtlander/e-mount/index.html

HELIAR-HYPER WIDE 10mm F5.6 Aspherical
ULTRA WIDE-HELIAR 12mm F5.6 Aspherical III
SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 Aspherical III
上記の10mm, 12mm, 15mmの3本です。

こんな小刻みの焦点距離単焦点を出して意味あるのか?と思わないでもないですが、それぞれ画角の観点で考えてみると、
10mm ⇒ 130°
12mm ⇒ 122°
15mm ⇒ 110°
となっており、約10°ずつの差があります。
この差を標準領域以上の焦点距離で考えてみると、例えば次のような組み合わせになります。
55mm ⇒ 43°
75mm ⇒ 32°
110mm ⇒ 22°
このように、広角側では焦点距離2mm,3mmの差が、標準以上の領域では20mm, 30mmの差と同等の画角の違いとして現れてきます。「20mm以下は1mmずつ単焦点が欲しい」なんて意見も聞きますが、超広角の領域では1mmの違いが大きいので納得の主張です。

 

広角側の別のネタとしては、超広角ズームとして散見される12-24mmという定番(?)レンズがありますが、キヤノンだけは一歩先を行っていて11-24mmを出しています。ワイド端が1mmだけ短いですね。この1mmにどれだけの意味があるのか、画角の観点から見るとその凄さが分かります。
12mm ⇒ 122°
11mm ⇒ 126°
なので、その差は4°です。
この4°、別の領域で考えると次の組み合わせになります。
600mm ⇒ 4°
300mm ⇒ 8°
こちらも差は4°です。
すなわち、焦点距離2mmと11mmの差は、画角という観点からすると、600mmと300mmの違いと同等なわけです。※ただし、この2つの 「4°」がヒトが知覚する上で同等のものかはわかりません。Weber–Fechnerの法則を考慮すると後者の4°の方が気づきやすい差分な感じがしますが、、これは別途調査ですね。

 

 

とりあえず、今回は以上にします。画角と焦点距離、考えると色々ネタが掘り起こせそうです。また思いついたら追記等したいと思います。この話は像倍率との話とからめて考える必要がある部分もあると思いますので、それもそのうち。

それでは。